百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


とっさに目をつぶって顔を腕で覆う。

すると、どこか温かな風が、そっ、と私の頬を撫でた。


………!


ゆっくりと目を開けると、

そこには、私が過去に、この場所で見た時と全く同じ光景があった。


金色に光り輝く、本堂。

そして、狐と狸の狛犬もどきの像。


周くんと遊馬が、言葉を失って目の前の妖を見た。

それは、先ほど見た竜ノ神とは比べものに
ならない程の妖気を放った

“本物の竜ノ神”だった。

芝狸が、震える声で口を開く。


『つ………ついに…見つけたぞ…!

お主を、ずっと探していたんじゃ…!』


すると、竜ノ神は、ゆらり、と体を動かして私たちの方を見た。

そして、どこからか、芯の通った穏やかな声が響く。


『…お前たちは…私に、何を望む…?』





まさか……

これは……竜ノ神の声………?


私たちは、金縛りにあったように
その場から動けなかった。

すると、竜ノ神は、少し目を細めて言った。


『…私は、妖界には帰りたくはないのだ。

…だが…お前らにも、譲れぬ願いがあるのだろう?』