百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



いつもの調子でワクワクし始める遊馬を見て

私はなぜだか、心が落ち着く。


……なんでだろ………


こんな危機的な状態なのに、全然怖くない。


遊馬が……

遊馬がいるから……………!


すると、大きな蜘蛛は、八個の赤い瞳をぎょろぎょろと動かして私たちをとらえた。


『許さんぞ……!

一人残らず、蜘蛛の糸で絡み取って、八つ裂きにしてやる!!』


その時、周くんが私の元へと駆け寄った。


「詠ちゃん!大丈夫?ケガはない?」


「うん…!平気!周くんこそ、体力は残ってる?」


すると、そのやり取りを聞いた遊馬は、少し目を見開いた。

そして興味深々、と言った様子で口を開く。


「んー?お前ら、俺がいない間になんか進展したろ?

“詠ちゃん”?今、“詠ちゃん”って言った?」


その瞬間。

八雲の鋭い腕が、私たち目がけて振り下ろされた。


「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょーっ?!」


私は、地面を転がるようにして攻撃を避けながら叫んだ。


もーっ!!

遊馬ってば、全然変わってないんだから!!