百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




え?


な……なんで?



『間違いない。小娘から竜ノ神の気配がする

お主、最近変な妖と会わなかったか?』



芝狸に言われ、私は記憶を遡る。



妖……って言ってもなぁ…。


私、妖と触れ合ったのなんて、今日が初めてだし…。


…………




「あ。」


『なんじゃ?思い出したか?』



そういえば、昨日の夜、変な夢を見たな。


金色の桜に導かれて、神社で七色の羽衣を着た動物に会う夢……。


そのことを話すと芝狸は、ぐりん、と
目を見開いて、私の胸元にダイブした。



『どれ?!その動物に触れられたところを見せてみい!!』


「わっ!なにすんのよ!エロ狸!!」



私は、体に引っ付いた茶色い毛玉を思いっきり放り投げた。



あ…周くんの前で!!


何やってんのよ、このおっさん!



すると、芝狸は、むっくりと起き上がって私に言った。



『その胸のアザ……まさしく竜ノ神の加護の印じゃ!

小娘!お主、竜ノ神に気に入られたな?』



はぁ?!



見ると、胸元に鱗のようなアザができて
いる。



……気づかなかった…。