百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



……え?


私は、ふいに胸が鳴る。


「私に………?」


雅は、少しの沈黙の後

私をちら、と見つめて言った。


「…上がってもいい?」


私は、はっ、とした。


そ…そうだよね。


つい、驚いて、固まっちゃってた。


「うん。…ボロいけど…どうぞ。」


私は、雅を部屋の中に入れて
ガチャ…、と玄関の扉を閉めた。


**


「はい、麦茶でもいい?」


私は、机の前に座った雅に、コップを置く。


水か、麦茶の二択なら…麦茶だよね。


すると、雅はごくり、と麦茶を一口飲んで、私に言った。


「…水族館の時のこと…気になって。

ケガとか、してないよね?」


私は、雅の言葉に、こくん、と頷く。


「大丈夫。…あの時はありがとう。

雅は、私と周くんを、紺から守ろうとして
くれたんだよね。」


ずっと、お礼を言おうと思ってたけど
全然会えないから言えずじまいだった。

すると、雅はクールな顔で答える。


「…目の前で傷つけられんの、見たくなかっただけ。

別に、庇ったわけじゃない。」