百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



ごろん、と寝返りをうって部屋の中を見渡す。


……遥…本当にいないんだな…。


自分の部屋にも帰らないなんて…。

まさか、野宿でもしてるの…?


…って。


なんで、私は遥のことなんか考えてるんだ?


すると、その時だった。


コンコン!


玄関の扉を叩く音が響く。


…?

誰か来た…?


私の頭の中に、遥の姿が浮かぶ。


…アイツ、やっと帰って来たの?


真っ先に私の部屋に来るなんて……

また弱ってたりするのかな…?


私は、急いで玄関に向かい
ガチャ!と勢いよく扉を開けた。


すると

そこに立っていたのは
私の予想とは違う人物だった。


「…詠、久しぶり。」


それは、金髪のロングヘアをなびかせた
雅だった。


「雅!……どうしたの?」


私はそこまで言って、ふと気がつく。


「あ、遥ならいないよ。ずいぶん帰って
来てないし…。

部屋も直ったみたいだから、もうここには
来ないみたい。」


確か、遥は雅に、“当分詠の部屋に泊まるから

用事があったら詠の部屋に来てくれ”って
言ってたよね。


遥を訪ねて来たのかな?


すると、雅が少しそっぽを向いて言った。


「…別に、今日は遥は関係ない。

あんたの顔を見に来たの。」