百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




「あの〜芝狸って、本当に周くんのペットじゃないの?」



私が尋ねたその瞬間。


芝狸が空中に飛び上がって、大きな尻尾で私を力一杯殴りつけた。



ぶぁふぉっ!!!



ふさふさの尻尾が頬に凄まじい速さで当たる。



痛っ!意外と痛い!!


しかも、今日、二回目よ?!これ!



芝狸は、私を睨みながら言った。



『アホ!周がわしの子分なんじゃ!

勘違いするな小娘!』



えぇ?!どういうこと?



すると、周くんは私に向かって言った。



「僕は、芝さんの“妖探し”を手伝ってるんだよ。

……訳あってね。」



「妖探し?」



ちょ……ちょっと待って。


ついていけない。



すると、周くんが苦笑しながら言った。



「ごめんね、急にこんな話しても、信じられないと思うけど…本当のことなんだ。」



……まぁ、確かに、目の前で“化け狸”が喋ってるんだもんね。


信じられなくても、これは現実なんだ。



周くんは私を見ながら続ける。



「その妖が持つ宝石は、どんな願いも叶えるらしいんだ。」



へぇ……どんな願いも……?



私は少し興味が湧いてくる。



それは素敵。


毎日お肉食べ放題。

内職しなくてもいい生活に戻れる。



周くんが、話を続けた。



「でも、その妖は逃げ足が速くて…全然捕まえられないんだよ。」