百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



私は、驚きのあまり、言葉を失う。



な……な……

なんで?!



“猫”が喋った?!!!!


夢…?!夢なの?!



混乱する私に、“猫”が話しかける。



『順応性ない小娘だな。わしは“化け狸”だと言ったじゃろが。

ほら、さっさとわしをもてなさんかい!』



嘘でしょ?!



硬直したままでいると、周くんが申し訳なさそうに近づいてきた。



「ごめんね、驚かせて。

あの……芝さんは、本当に“化け狸”なんだ。

信じられないと思うけど…現実だから、落ち着いて。」



冷静な周くんの言葉から、リアルさが私に伝わり

だんだんと心が落ち着いていく。


すると、それを聞いていた“化け狸”が周くんに続けて言った。



『おい周!わしは“芝団三衛門狸”という立派な名前の高貴な妖じゃ!

ちゃんと紹介せいっ!』



「あ、長いから佐伯さんも好きに略して呼んでいいよ。」



しばだんざえもん………?



うーん、確かに長い。


じゃあ、“芝狸”(しばだぬき)でいいや。



……って、そうじゃない!!!



ば……“化け狸”?!


そんなもん、生まれてから今まで見たことない。


って、周くんとどんな関係なの?!