百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



私は、黙って周くんの話に聞き入る。


「そんな時だった。

三年前……突然母さんが病気になって、入院することが決まったんだ。」





周くんは、そのまま表情を変えずに話し続ける。


「それで、生活費に加えて、入院費まで稼がなくちゃいけないことになって

高校二年生だった姉さんは、学校に通いながらバイトをすることになったんだ。」


三年前ってことは、周くんは中学一年生か…


お姉さんとは、四歳離れているんだ。


すると、周くんは少し眉を下げて続けた。


「入院費は高くて…いくつバイトを掛け持ちしても、間に合わないぐらいだった。

そんな時、姉さんがすべてのバイトを辞めて帰ってきたんだ。

“すごく儲かる仕事を見つけた”ってね。」


“すごく儲かる仕事”………?


私は、はっ!とした。


「もしかして……

それが“カンパニーの研究員”だったの…?」


私が尋ねると、周くんは無言で頷いた。