百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



亡くなったと、言われた彼女は、遥の恋人
だと言っていた。

私は、信じられない思いを胸に、周くんに尋ねる。


「周くんのお姉さんは……カンパニーの研究員だったの……?」


すると、周くんが、私の方を見て、困ったように目を細めて言った。


「…そうだよ。

話せば長くなるんだけど……聞いてくれる
かな…?」


私は、動揺を隠しながら、こくん、と無言で頷いた。


…そういえば、周くんはカンパニーに研究員がいることを詳しく知っていた。

カンパニーの一員ではないのに内部に詳し
かったのは、お姉さんがカンパニーで働いていたからだったんだ。


……じゃあ………

どうして周くんが事務所側に?


それに、カンパニーが、あんなに悪い組織だって知っているのに、どうしてお姉さんはカンパニーに……?


私の頭の中に、次々と疑問が浮かんでくる。

すると、周くんは、そんな私の顔を見て、静かに語り始めた。


「……実は、僕の家は父親がいなくて、母さんが一人で、僕と姉さんを育てていたんだ。」