百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



ぽろっ、と出た本音に、
私はさらに緊張がMAXになる。

すると周くんは、照れたように優しく
微笑んで、私に囁いた。


「…そっか…よかった。

詠ちゃん……、本当に、無事でよかった。」


どきん!


胸が大きく鳴った。

とく、とく、と小さく心臓がリズムを
刻み始める。

すると周くんは、スクッ、と立ち上がって、私に手を伸ばした。


「とりあえず、洋服をどうにかしようか。

風邪をひかないように、着替えたら帰ろう。お家まで送っていくよ。」


私は、こくん、と頷くと、きゅっ、と周くんの手を取った。


周くん…

いつもの周くんだ…。


私は、ふっ、と遥と話していた時の、鋭く、傷ついたような周くんの顔を思い出す。


“僕はまだ、お前のことを許そうなんて、思えない。”


……二人の間には、一体何があったの?


私は、遥のことを周くんに聞けないまま、
一緒に出口まで歩き出した。

一心くんが、空を飛びながらその様子を見て切なげな顔をしたことに

私は気づかないままだったのです。