百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



…え……っ!


私は、驚いて周くんを見上げた。


………ど

どういうこと………?!


その時、私の頭の中に、今と同じような光景が浮かんできた。

あれは、私が初めて鬼火銃で妖を浄化した
夜のこと。

私を助けた遥に、周くんが言った言葉。


“…佐伯さんは僕たちのものだ。

……お前には渡さない。”


確かに、同じ状況。

でも、あの時とは、違う。


『“詠ちゃん”は“僕”のものだ』





その時、遥が、すっ、と立ち上がった。

そして、くるり、と私たちに背を向ける。


「…別に俺は、恩を売ろうとしたわけでも、罪滅ぼしをしようとしたわけでもねぇよ」


遥は、そう小さく言って

そして顔だけ振り向いて続けた。


「…俺は…狐野郎の好きにはさせたくなかっただけだ。」


……!


私と周くんが、何も言えずに遥を見ていると遥は飛んできた一心くんに言った。


「ありがとな、一心。

割れた水槽と魚、元に戻しといてくれるか?お前なら、一時間もあれば直せるだろ?」