百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


ケホ!ケホ!!


私は気管に水が入って、呼吸が乱れる。

びしょびしょになった腕で目元を拭うと、
遥が目を細めて口を開いた。


「……詠…………」


遥が、何かを言いかけた

その時だった。


ぐいっ!


地面に座り込んでいる私の肩を、誰かが
後ろから抱き寄せた。

トッ!と寄りかかり、驚いて後ろへ視線を
やると

そこには遥をまっすぐ見つめる周くんがいた。

周くんは、視線をそらさないまま、口を開く。


「……九条…遥……。

今回は…僕たちを助けてくれたこと、感謝しておく。…ありがとう。」


遥が少し驚いたように目を見開く。

しかし、遥が言葉を言う前に、周くんが真剣な瞳を遥に向けて続けた。


「……でも。

僕はまだ、お前のことを許そうなんて、
思えない。」





遥は、はっ!とした表情になる。


………周くん………?


私が見つめていると、周くんは、私を抱き寄せる腕に、ぐっ!と力を入れた。


「………詠ちゃんは、僕のものだ。

お前に大事な人を、もう渡しはしない。」