百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


すると、次の瞬間

辺りに張り巡らされていた蜘蛛の巣が、
ばっ!と中に浮き上がった。


……な………!

何……?!


私と周くんが動揺して辺りを見回していると

ニヤリ、と笑みを浮かべた紺が、低い声で
呟いた。


「まさか、私がここに来たのは、この面を
使うためだけだと思っていたのですか…?

………そんなわけないでしょう。」





その時、ここに来た時の会話が頭に響く。


“…あぁ、やっと来ましたか。

芝の部下さん?”


“なんで、ここに来たんだよ!

詠!早くここから…………”


サッ!と血の気が引く。


まさか………

紺の目的は、初めから私たち……?


もしかして、水族館に入る前に雅が辺りを
きょろきょろしてたのは

私たちがいないかどうか、確認してくれていたの?


周くんがすべてに気がついて、私の方を急いで振り向いた。


「逃げよう!佐伯さん!」





その声に、はっ!として私は足を動かす。

私と周くんは、全速力で来た道を戻り始めた。

背後から、紺の低い、独特の声が響く。


「八雲の糸からは……決して逃げられませんよ……!」