百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



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「あ、ここの二階なの。角部屋の隣。」



アパートに到着すると、周くんは、へぇー、とアパートを見上げながら言う。



「ここに住んでるんだね。

……親御さんに挨拶しないと…。」



私は、はっ、として周くんに言う。



「あー…私、一人暮らしだから、気にしなくていいよ。」



すると、周くんは私を見て、言った。



「じゃあ、自分で家事とかしてるんだ?

えらいね、佐伯さん。」







ドキュン!と、胸を撃ち抜かれる。


王子からキラキラが出たーっ!


いきなり胸がドキドキする。



……そ…そんなまっすぐに褒められても…。



私は、周くんと共にアパートのボロい階段を登る。


相変わらず、階段がギシギシ、と鳴る。


うぅ………。

せっかく周くんが来てくれたのに…。



もっといい所に住めばよかった!
(本日二回目)



「女の子の一人暮らし、大変じゃない?」



周くんの言葉に、私は笑って答える。



「んー…たまーに、寂しいかな。

お隣も空き部屋みたいだし。」



こんなボロアパートに越してくる人少ないし一階にも大家さんしか住んでない。


私は、部屋の前に到着すると、
ガチャリ、と扉を開けた。


そして、中に向かって声をかける。



「猫ちゃーん。ご主人様見つかったよー…

………!?」