百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜






遥は、見たこともないぐらい弱々しい。


ど……どうしたの……?


動揺する私に、遥は、まるで子どものように私を抱きしめたまま、離れようとしない。


「……っ。」


私は小さく息をして遥の体に手を回した。

ぎこちなく、遥の背中を抱く腕に
力を入れていく。


「…遥…?大丈夫……?」


そっ、と囁くと

遥はさらに私をきつく抱きしめた。


どくん……!


心臓が大きく鳴る。

どきん、どきん、と遥にも聞こえるほど、
心臓の音が私の中で響く。


「……遥……?」


私が再び名前を呼ぶと

遥は顔をすっ、と上げて、私を見た。


目の前に、遥の整った顔が見える。


その瞳は、澄んでいて、どこか悲しそうで…いつか見た瞳と同じ色を宿していた。


遥が、ゆっくりと口を開く。


「お前なら…俺の過去も、傷も…。
全部受け止めてくれるのかもな。」





その言葉は、私の奥まで、すぅーっ、と
入り込んだ。


それは初めて見せる遥の“心の奥の言葉”で…

私は、遥の瞳から、目が離せなかった。


「………どういうこと…?」


私がそう、震える声で尋ねると

遥は私をまっすぐ見つめたまま黙っている。


その時

遥が、すっ、と私に近づいた。