百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



私は、急いで遥に駆け寄ってしゃがみこんだ

遥は、荒い呼吸のまま、うつむいている。

私は、遥に向かって震える声で言った。


「どうしたの?この傷…!

何をしたらこんなになるわけ?!」


すると遥は、少し掠れた声で呟く。


「……別に……なんでもない。」





その言葉に、私は眉をひそめる。


「なんでもないわけないでしょ…!

ねぇ、動ける?手当てしないと…それとも、病院いく?」


遥は、首を振って答えた。


「これは、俺の血じゃねぇし…。

……口が切れただけ。他もかすり傷。」


遥の言葉に私は、ほっ、と胸をなで下ろす。

私は、遥の肩に手を置きながら、そっ、と口を開いた。


「とりあえず、私の部屋に行こう?

救急セットならあるから。ベッド使ってもいいし。」


すると、遥が血の出ている口元を拭いながら言った。


「…お前の部屋、血で汚すわけにはいかねぇだろ…。」





……だから、私の部屋に寄らなかったの?


私は、遥の服をぐっ、と引っ張って言った。


「そんなこと、気にしなくていいから。

行こう…?」