百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



すると、王子は言葉を続けた。



「あ、呼び方、“周”でいいよ。みんなそう呼んでるし。」



「えっ?!!」



私は驚いて、緊張で体が固まる。


まさか、こんな展開になるなんて……



「じゃあ、“周くん”って呼ぶね…?」



おずおずと名前を呼ぶと、
周くんは、にこっ、と笑って頷いた。



な……なんか、今日は本当に運がいい!


名前呼びなんて、う……嬉しすぎる!


やっぱりあの占いは当たるんだ!



すると、周くんは少しの沈黙の後
口を開いた。



「あの…佐伯さんに聞きたいことがあるんだけど。

いいかな?」



あ、そうだよね。


だから話しかけてくれたんだもんね。



私が頷くと、周くんは少し困ったような顔をして話し始めた。



「…実は、つい昨日、僕の“知り合い”がいきなり姿を消したんだ。

それで、さっき、佐伯さんと会った時、その知り合いの“気配”がしたんだけど…。」



“気配”……?



私は、周くんの言葉に少し違和感を感じる。


会った人の気配って、他の人にもわかるものなの??


周くんって、エスパーかなんかなのかな?



すると、周くんは、どこか希望にすがるような瞳で私に尋ねた。



「今日、何か、変な動物に会ったりしなかったかな?」