今でも、操られていない遊馬と最後に話した時のことを鮮明に思い出す。
……遊馬が、逢魔街十三番地に入る時、
私が、ちゃんと止めていれば…。
そのことが、ぐるぐると頭の中を駆け巡る。
自然と、会話が途切れた。
二人とも、遊馬のことを考えると、
暗い気持ちになってしまう。
すると、周くんが弱々しく微笑んで
私に言った。
「放課後、事務所に行って作戦を立てよう。
大丈夫。芝さんなら、きっといいアイデアを出してくれるよ。」
優しくそう言った周くんに、私は、こくん、と頷いた。
…そうだよね。
悲しい気持ちに沈んでいても、解決策なんて出ない。
私は、ぐっ、と手のひらを握りしめて、
窓の外を見た。
遊馬……。
きっと、私たちが助け出してあげるから。
待ってて…!
私が心の中で呟いた声は
遊馬には届かないまま、すぅ…、と
消えていったのだった。