百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



私が返事をすると、王子は歩きながら話し始めた。



「僕は、佐伯さんと同じ学年の
結城 周(ゆうき あまね)。

急に話しかけて、ごめんね。」



あ、自己紹介してないや!


私は、はっ!として答える。



「いえいえっ!全然大丈夫です。

…私は、佐伯 詠です。」



すると、王子は、ふっ、と笑った。



「知ってるよ。佐伯さん、学校中で“美少女”だって噂になってるから。」



うはっ!!!!



王子スマイル!!!

かわいい!!本当に王子様!!


って、今“美少女”って言われた?!



私は全力で首を振って否定した後

若干動揺しながら口を開く。



「ゆ……結城くんだって、“王子様”みたいって、噂になってるよ。

…私、入学した頃から名前は知ってたし。」



すると、王子は照れたように「全然王子なんかじゃないけどね。」と笑った。



いや、あなたは王子様ですよ?


私もあなたに憧れてます……!



………って


言えない、言えない!!


そんなこと言えない!!