百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



「バカッ!!!」


次の瞬間

私は遥に向かって大声で怒鳴った。

私の声が静かな部屋に響く。


「……!」


遥は目を見開いて、驚いた顔で固まった。

私は、遥に向かって続ける。


「死んじゃダメ!あとを追うなんて、絶対にしちゃダメだよ……!

遥は彼女を忘れないように、
全部…全部背負って生きてくの!」


遥が、ハッとした表情で私を見た。


…私は家族を失った。

恋人を失った経験はない。


比べるなんて、出来ないけど

もしかしたら、家族を失うより、恋人を失った心の傷の方が、深いのかもしれない。


遥の気持ちなんてわからない。


偉そうに、何も言える立場じゃない。


…でも


遥には死んでほしくない。


すると、次の瞬間

遥が、ぶはっ!と笑い出した。


「お前、本当に変な女だな。

ふつー怒鳴るか?慰めの一つもねぇのかよ」


遥は、そう言うと、今までに見たこともないような優しい瞳をして言った。


「………ばーか。

……嘘だよ。俺は死んだりしねぇもん。」