百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



“会うのは狐野郎と縁を切ってからだな”


遥の言葉が、小さく頭に響いた時。

パァン!と、一発の銃声が遥の部屋から聞こえた。





私は、急いで部屋を飛び出す。

雅が私を呼ぶ声が聞こえたが、答える余裕はなかった。


ガチャ!!


隣の部屋のドアを開ける。


部屋の中を見ると、壁をぶち抜いていた金棒は消えていて

大きな穴の先の夜空を背景に、藍色の青年が立っていた。

その姿は、いつもの遥と同じだけど、どこか纏う空気が違う。


遥は、血相を変えて走ってきた私を見て言った。


「………何だよ…?」


私は、ごくり、と喉を鳴らして答える。


「………今の、銃声は………?」


遥は、表情を変えずに手に持った鬼火銃を見せた。


「金棒を消したんだよ。

…早く処理しねぇと、このおんぼろアパートごと崩れそうだろ?」