百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




私は、ふぅ、と息を吐くと、クラスメイトに近づいた。



…ちゃんと訂正しなきゃ…!



彼女たちは私に気づくと、ぴたり、と話をやめる。



私は、彼女たちに向かって口を開いた。



「あの…アイツは彼氏じゃないの!

まったく私と関係ない人なの!」



……初おしゃべりは、この話じゃないのがよかった!!



心の中でそう思いながら一呼吸で言い切ると

彼女たちは、興味津々、といった様子で
ずいっ!と私に近づいた。



「彼氏じゃないってどういう関係?!でも、抱き合ってたよね?

キープ中の男、みたいな?」



「さすが、噂の美少女は違うよね〜!」







“キープ中の男”って何?!


ってか、“美少女”?!


いやいや、そんなわけはないんだけど……



私は必死に否定する。



「キープどころか、彼氏なんか、一人も出来たことないって!」



しかし、彼女たちは冗談だと思ってるようでまったく聞く耳を持たない。



まぁ、確かに……

初対面の男といきなり抱き合うなんて状況、普通はありえないけど!



はぁ……。



もう、今日の占いは大外れだ。