百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



“結城 周”。


それは、同じ学年の男の子。


琥珀色のサラサラ髪の毛に、ぱっちり二重の瞳。

紳士で、勉強できて、まさに理想の“王子様”。


入学当初から、かっこいいと噂の男の子だ。



……私も、王子と話してみたいなぁ…。



その時、クラスの女の子が、私を見て話しているのに気がついた。



「そういえば、私、朝、佐伯さんがかっこいい彼氏と抱き合ってるの見ちゃった。」



「えー、嘘!佐伯さんって彼氏いるんだ?」







私は、その言葉に、ピキッ!と凍りつく。



今朝の見られてたんだ!


って、見てたってことは、あの子も遅刻組?


それを話のネタに、仲良くなれそう……


………って、そうじゃない!!!



その話はやめてよ…!お願いだから!

それは私の彼氏じゃなくてっ!!



もー!今朝のアイツのせいで、入学早々、変な噂の的に!!