百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


目の前を見ると、紺は微動だにせず、その場に立っている。

いまの銃声は、周くんの鬼火銃のものじゃない。

地面に落ちたネックレスをよく見ると、小さな傷とともに焦げのような跡ができている。


………誰かが、周くんの鬼火銃を狙って撃ちおとしたの…?


私と周くんは、一斉に辺りを見渡す。


遠くから銃だけを狙って撃ち落とすなんて、普通の人には出来ない。


ましてや、あの一瞬で。

そんなことができる技術を持った人なんて………





視線の先に、見える。

光る、金色の鬼火銃。


私と周くんは、階段脇の森から現れた“一つの影”に絶句した。


そこには、狐のお面をつけている見慣れた“青年”の姿があった。


「………相楽………くん……?」


周くんが、ぽつり、とそう呟いた。

無意識のうちに出たその名前は、確かに目の前の青年の名前だった。

お面からのぞく茶髪は間違いなく遊馬のもので、服装も昼間と同じく、高校の制服だ。


「なんで………遊馬が狐のお面なんか…」


私は、小さく声を漏らした。