百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



私は、雰囲気の変わった周くんを驚いて見上げた。

その瞳は、言い表せないほどの怒りを宿している。

そして、どこかその表情は悲しそうで、いつか見た遥の表情に似ていた。

周くんは、低い声で言い放つ。


「……葛ノ葉 紺…!やっと姿を現したな。

竜ノ神の前に、お前を妖界に送り返してやる…!」


ぞくり、と背筋が震えた。

雅さんも、無言でその様子を見つめている。

すると、紺が胸にそっと手を当てて、うやうやしく頭を下げた。


「君はあの時の“弟さん”でしたか。

……あの時は実に運が悪かった。凛さんのことは、今でも済まないと思っておりますよ。」


“凛さん”……?

そして、“弟さん”って?


その時私の脳裏に、周くんの言葉が蘇った。


『…僕の姉も加護者だったんだけど…

去年、鬼火銃の使いすぎで倒れて、そのまま亡くなったんだ。』


まさか、凛さんって人は、周くんのお姉さんのこと?

でも、どうして紺がそのことと関係があるんだろう?


周くんとのただならない雰囲気を感じ、私は嫌な予感がした。


…もしかして、凛さんが亡くなった理由に、カンパニーが関係しているの?