私と周くんは驚いて顔を見合わせた後
ばっ!と身構えて外へと視線を向ける。

他の妖が飛んでいる様子はない。

時計は、午後六時を指していた。


……遥は、昨日「明日の夜にでも、俺たちは仕掛ける。」と言っていた。


まだ夜じゃないけど……

竜ノ神が動き出したなら、カンパニーも
黙ってはいないよね。


「佐伯さん、急いで向かおう!

芝さんの勘を頼りに竜ノ神を見つけるんだ!この機会を逃すわけにはいかない!」


周くんが、鬼火銃を首から下げて言った。


………カンパニーよりも早く。

私たちが竜ノ神の宝石を手に入れなくちゃいけないんだ。

あんな、妖を平気で傷つけるような集団の手に、竜ノ神を陥らせるわけにはいかない!


私は周くんの言葉に力強く頷くと、芝狸を抱えて、事務所を飛び出したのだった。


………この先に待つ、信じられない未来を

私たちは誰も予想していなかったんだ。