百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



私はその剣幕に押されながらも反論する。


「や、知り合いっていうのは遥のことじゃなくて…

っていうか、私が遥に近づいてるんじゃなくて、遥の方が勝手に………」


すると、彼女はスタスタと歩いて、私の横を通り過ぎた。

そして、すれ違う瞬間、冷たい声で言い放つ。


「遥はあんたに執着してるみたいだけど…渡さないから。」


っ!

って、人の話を聞いて!!


私は、去っていく彼女の方を振り向いたが、彼女は無言で歩いて行ってしまった。


な……何あの人!

私のこと敵視しすぎじゃない?


本気で遥のこと、好きなんじゃ……。


“遥はあんた執着してるみたいだけど、渡さないから。”


さっきの言葉が、頭の中にプレイバックする。

あれって、確実にライバル宣言だよね。


もー……そんなんじゃないのに!


そして、はっ!と気付くと、彼女の姿も、遊馬の姿も見失っていた。

私は、はぁ…、とため息をつく。


……このまま路地に入って、また雅さんと会うのも気が引けるな…。

遊馬なら、大丈夫だよね……?


私は、そう心の中でつぶやいて、一人、路地を後にしたのだった。