百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


びくっ!


驚いて、声の方を見る。

すると、そこには綺麗な金髪美女が立っていた。


あれ…?この人って、確か………。


「雅……さん……?」


無意識のうちにそう呟くと、彼女は少し驚いたように私を見た。

そして再び、キッ、と睨むような視線を私に向ける。


「……あんた、事務所の人でしょ?

なんでこんなトコにいるの?」


芯のある声が、私を捉える。


……正直、ちょっと怖いな。

鋭い視線に串刺しにされそう……。


「…あ…知り合いを追って来ただけです。

邪魔ならどきます、ごめんなさい…。」


こういう時、自分のコミュニケーション能力の低さが役に立つ。

なんとなく、お互い威圧しながら見つめ合った。

すると、彼女はゆっくりと口を開いた。


「“知り合い”って、遥のこと?」


どきん。


彼女の口から出た言葉に、無意識に胸が鳴った。


“遥”……。

この人、遥と、本当にカンパニーの仲間ってだけの関係なのかな?

遥は“彼女じゃねぇ”とかって言ってたけど。


すると、いきなり彼女がキッ!と私を睨んだ


「あんたは、加護者だから遥に気に入られてるだけよ。

……もう遥には近づかないで。」





え………

えぇ?