百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



「“特別任務”って?」


私が尋ねると、遊馬は少し黙って

そして、にこーっ!と笑って答えた。


「佐伯みたいなお子ちゃまには、まだまだ早いな〜。

………知らなくていいんだよ、佐伯は。」





一瞬、遊馬が真剣な表情になる。


………え?


私はぴくり、と動揺した。

遊馬は、再び、にやっ、と笑って「周にも教えられないな〜。あいつもまだガキだからな〜。」と言っている。

私は、その態度を不思議に思って遊馬の様子を伺う。


……一瞬、雰囲気が変わったのは気のせいだったのかな…?


遊馬は普段通りのテンションで喋っている。

私は、小さく、ほっ、と息を吐いた。


…なんか、聞いちゃいけないものを聞いたのかと思った…。


私の考えすぎかな。


私が、ちらちらと遊馬を見ていると、ふいに遊馬がピタリ、と、足を止めた。


……?


私は、遊馬の視線の先を見る。


そして、目の前の道を歩いている物体を見て目を見開いた。


「え……芝狸?!」


視線の先には、紛れもない“狸”がいた。