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「よっ、佐伯!今帰りか?」
次の日。
学校を終えて昇降口へと出ると、ばったり、エナメルを下げた遊馬に出会った。
「うん。今から事務所に行くとこ。
遊馬も行く?」
私の言葉に、遊馬は、にっ、と笑って頷く。
遊馬とは学年が離れてるから、帰りが一緒になるなんて珍しい。
並んで歩き出すと、遊馬がふと思い出したように言った。
「そういえば、社長が言ってたんだけど、最近行方不明事件が増えてるらしいな。」
その言葉に、どくん、と胸が鳴る。
…“行方不明事件”?
驚いて遊馬を見上げると、遊馬は難しい顔をして言った。
「実は、最近この地域でいきなり消息が分からなくなる奴が増えてるらしい。
理由はわかんないままなんだけどさ。」
そんなことが起きてるんだ…。
私は遊馬の話に、ぶるっ!と体が震えた。
行方不明って、どういうこと?
まさか、妖が関係してるの?
「いなくなった人たちは、今も戻ってきてないの?」
私が尋ねると、遊馬は首を横に振った。
「いや、一週間後ぐらいには何事もなかったかのように戻ってくるらしいぜ?
何があったかを尋ねても、みんな記憶が抜け落ちてるって話だ。」



