百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


私は、閉まった遥部屋の扉を軽く睨むと

自分の部屋の鍵を開けながら、はぁ、と息を吐いた。


……やっぱり、あいつ彼女いたんだ。


………。


…何?今のため息?


や、別にショックとかじゃないよ?

性格はともかく、容姿はすごく整ってるんだから、そりゃあ彼女はいるだろうなって思ってたし。


………ただ。


何故か、あいつはとても寂しそうな、真剣な顔をしたから。

心に引っかかっただけ。


私は部屋へと入ると、ドサ、とベッドに
ダイブして静かに呼吸をする。


それにしても…。


私は金髪ロングヘアの女性の姿を頭に思い浮かべる。


……雅さんって人、一体何者なんだろう。


私は、ごろり、と仰向けになって天井を見上げた。

少し弱々しい電球の明かりが、部屋を照らしている。


……あの人も、事務所の敵なのか。

これから、何も起こらないといいけど…。


私は、彼女に睨まれたことを思い出して、はぁ、と大きくため息をついたのだった。