さくら、咲く頃あなたには


我が家のリビングには誰かが買ってくる
ブライダル雑誌が溢れている。
それを見て呆れ顔のいっちゃんは
家族の誰より1番冷静だった。

式場はまだ決めていないけど
来年の春頃にしようかなと言っていた。

家族が盛り上がる中、
夏休みはあっと言う間に終わる。

「ふぅちゃんー、宿題手伝って」

毎年恒例の私の泣き落としに
ふぅちゃんは今年もまたかと、
ため息をつく。

「だって、今年はいっちゃんの」

「はい、人のせいにしない」

「…ごめんなさい」

「何が残ってるの」

筆箱持参のふぅちゃんに
山ほどあるドリルを差し出した。

「…ほぼ手付かずじゃん」

「ごめんなさい」

このやりとり、今年で最後にしようと
思い続けて11年。

後でふぅちゃんの好きなコーラ
買ってくるから許してね。