幸だけではなかった。
新菜の予想は当たった。

「よ、久しぶり」

「久しぶり」

軽い感じで手を上げたのは陣野。
元族長、ここらへんの悪ガキたちを仕切っていたボス、喧嘩最強伝説を持っているひと。

「なんで一緒にいるの?」

「俺等、真壁の結婚式で結構気が合ったんだよな」

聞く相手を間違えた。幸の方を見てみる。

「さっき駅前の不動産めぐってたら偶然会った」

「ここら辺新しい建物馬鹿みたいに出来たろ。道も変わっててお前の家わかんねえなって思ってたところに幸が現れたわけ」

いつの間に名前で呼ぶ仲になっていたんだ……。