ランチが終わり、更衣室で着替えて裏口へ出ると電話がかかってきた。 「もしもし」 『菱沼、どういうことだよ』 焦っているような声に事態が把握できない。何が、と問う前に相手が答えを出した。 『お前、結婚したならそう言えよ』 「……え」 『さっきお前ん家行ったんだよ。あの話は忘れてくれ、じゃあな!』 一方的に切られた電話。 ……結婚だと? 急いで家に帰ってみると、幸の靴はなかった。部屋探しにでもでかけたのか、考えていれば玄関の扉が開かれる。 「あ、おかえり」