Fiore Zattera


急いで支度をして、玄関で靴を履く。

「送る」

いつの間にか着替えた幸が車のキーを持って、あたしより先に靴を履いて出ていく。鍵をちゃんと閉めて、階段を駆け下りた。

ちゃんとマンションの前に停めてくれている幸の車に乗った。

「駅前までお願いします」

「了解」

「運転手にしてごめん」

そう言うと、幸は少し笑う。

「雇ってくれても構わないけど」

「うちに人件費払える余裕はないから」

残念、と軽口を叩いている内に駅前。
徒歩より全然早い。

「土日も出勤なんだ。休みあるのか?」

「月水と定休日」