Fiore Zattera


さっきまでヒーターがついていたのか、火が消された匂いがする。

「あ」

「うん?」

「昼ご飯、ありがと」

「……朝ごはんだけど」

既に眠りの底に落ちたあたしには聞こえなかった。





目が覚めるとカーテンの向こうが明るい。

枕元に置いてある時計を見れば、朝八時。

指を絡め取られている感覚に手を動かしてみると、力が更に加わる。

「……なに?」

心配そうな顔をしてこちらを覗く幸がいた。

「冷たかったから、死んでるのかって心配になった」

「は?」

すぐに手は離される。まだ眠気は残っているけれど、今日はランチだから早めに家を出ないとならない。