「返事なしか……」


当然だよな…と納得してスマホを放る。

いきなり「帰ってくるな!」と送ったのは俺。
菅野は今頃それを見て、(何で?)と思い悩んでることだろう。


「理由教えてもいいけど、あんま情けねーし……」


抱くのを我慢できねぇ…とか、そんなの上手く言えねーし。
ストレートに言うとドン引きされそうだしな…。


「あいつにその気があるならいいけど、今のところそんな覚悟も無さそうだしなぁ……」



昨夜の飲みの時、佐々木さんやクマさんに、梨花と会った…と話した。
2人とも驚いて、「偶然って怖いねぇ〜」と呟いた。



「羽田ちゃんの元カノって、確か派遣先の上司と結婚したんだったよね⁉︎ 」

「結婚して直ぐに九州へ転勤してしまったって話だったのに、こっちに居たってことは別れたってこと?」

「それはないでしょ」


俺のこと散々コケにしてたのに、あの梨花がそんなことする筈もねぇ。


「だったら単なる帰省?」

「その割には1人だったけど…」


俺の言葉に2人が悩む。
別れたにしても帰省にしても、出会ったことが問題なんじゃねぇ。
その場に菅野がいて、すっげぇ気にしてたのが気掛かりなんだ…と言った。


「菅野ちゃんともご対面かぁ……そりゃマズかったね」


クマさんが頷く。


「そう?菅野ちゃんなら平気じゃない?元カノだけど関係ないって言えば」


佐々木さんは呑気でお気楽で羨ましい。
自分にコンプレックスばっか感じてる菅野が、梨花を見て落ち込まねー筈はないんだ。