「枕、布団、毛布、あっ、それとカバー……」


羽田が仕事から帰ってくるのを待って買い物へ行った。
22時まで営業してるショッピングモール内で、メモを片手に買い物中。

羽田はと言うと2階の本屋で立ち読み。
買い物に付き合うのは面倒くせーと拒否った奴は、マンガ片手に笑ってる。


これじゃあ先が思いやられる。
こんなので毎日過ごすんだろうか。



「…お待たせ。買い物済んだよ」


身の回り道具と布団一式購入。

家から持って来れる物は全部持ってきた。
だって、しがないパートの身分だもん。


「よしっ!帰るか!」


意気揚々と本を戻して近寄ってくる。
その元気さがあるなら手伝ってくれても良かったのに。


「私疲れた……。羽田これ押してくれない?」


カートを指差すと、二つ返事があった。


「ヤダ。お前の荷物なんだから自分で頼む」


昼間買い取りで散々力使ったからなぁ〜って、優しくも何ともない。


「ケチ。じゃあいいよ」


やっぱこんな奴なんだ…と思い直しながら押し出すと、トン…と誰かにぶつかった。


「あっ…!ごめんなさいっ!」


山のようになった荷物の横から見てみると、カートの向かい側に女の人が立ってる。

しかも何⁉︎
目の覚めるような美人だし。


「…いえ、こちらこそすみません。前方不注意で……」


良かった。いい人そうで。


「ケガしてませんか?」


カートを手放して寄ろうとしたら、その人が声を上げた。