「……羽田、疲れてるね。出かけるのよそうか?」
近づいてきた菅野が下から顔を覗かせた。
本屋に勤め始めた頃から、少しだけ変えたというメイクを見下ろす。
以前はしていなかったマスカラをして、グロスを塗りだした唇はプルプル。
厚めに盛ったツケマのせいか、トロンとした感じの目元になってる。
……明らかに少し垢抜けた。
まだまだその辺のOLには負けてるけど。
「いいよ、別に疲れてなんかねぇ。お前の気のせいだから」
例年悩まされてる花粉症のせい…と、大見得きって別れたまでは良かったけどさ。
「申し訳ね…」
休みに入った途端、思わぬ高熱でぶっ倒れた。
意識のない俺を社宅として借りられてる部屋の中で見つけだした菅野は、ぎゃーぎゃー言いながら揺り動かした。
「もうっ!死んでるのかと思ったじゃない!具合悪いなら悪いって言ってきたら良かったのに!」
薬局で買ってきた解熱剤の箱の裏を読みながら叱る。
隣で錠剤を取り出し、「取りあえずこれ飲んで!」と口を開けた。
「……何だ?」
「あーん、して」
関節が痛くて体が動かせない俺が唯一できる行動でしょう?と自分の口も開ける。
いろいろと思考の定まらない頭で考えるのも面倒くさくて、目の前にいる女と同じ様に口を開けた。
コロコロ…と小さな二錠の薬剤は、舌の上に放り込まれた。
近づいてきた菅野が下から顔を覗かせた。
本屋に勤め始めた頃から、少しだけ変えたというメイクを見下ろす。
以前はしていなかったマスカラをして、グロスを塗りだした唇はプルプル。
厚めに盛ったツケマのせいか、トロンとした感じの目元になってる。
……明らかに少し垢抜けた。
まだまだその辺のOLには負けてるけど。
「いいよ、別に疲れてなんかねぇ。お前の気のせいだから」
例年悩まされてる花粉症のせい…と、大見得きって別れたまでは良かったけどさ。
「申し訳ね…」
休みに入った途端、思わぬ高熱でぶっ倒れた。
意識のない俺を社宅として借りられてる部屋の中で見つけだした菅野は、ぎゃーぎゃー言いながら揺り動かした。
「もうっ!死んでるのかと思ったじゃない!具合悪いなら悪いって言ってきたら良かったのに!」
薬局で買ってきた解熱剤の箱の裏を読みながら叱る。
隣で錠剤を取り出し、「取りあえずこれ飲んで!」と口を開けた。
「……何だ?」
「あーん、して」
関節が痛くて体が動かせない俺が唯一できる行動でしょう?と自分の口も開ける。
いろいろと思考の定まらない頭で考えるのも面倒くさくて、目の前にいる女と同じ様に口を開けた。
コロコロ…と小さな二錠の薬剤は、舌の上に放り込まれた。

