ごそっ…と布団が捲られた時、私は必死に寝たフリをしてた。



「美結」


色っぽさもない感じで羽田が私の名前を呼ぶ。

知らん顔してても、寝てないってきっとバレてる。だったら、口きいてやった方がマシだ。



「な、何…」


声が上ずって変な発声になってしまった。
風邪引いてるせいもあるけど、きっと必要以上に緊張してるせいだ。


「こっち向けよ。お前、パンツ探しに来たんだろ。持ってきてやったぞ、ほら」


ピラッと目の前にぶら下がるイチゴ柄の一部丈パンツ。
実はブラとお揃いで、見た目が可愛いから買ったんだけど……。


「ぎゃーー!!バ、バカーー!!」


ぎゅっと引っ張って奪い取った。
背後にいる羽田は可笑しそうに、くすくす…と笑い声を立てる。

ドキドキしてた心臓の音はバクバクしたものに変わり、完全に肩に力が入った。

どうすればいいかも分かんないくらいパニクる。
そんな私の気持ちも知らず、羽田はベッドの中に潜り込んだ。


「やっぱ狭いな」


しみじみ言うな!
そんなの当たり前でしょーが!


「わ……私、やっぱ床で寝るっ…!」


起き上がろうとしたら腕を引っ張られた。
上から押さえつけようとする羽田の顔がやけに近づいてる。

こんな近さ初めて。
つーか、やっぱダメ……!
こんなの無理……!