そんな結婚、あるワケないじゃん!

おばあちゃんと母はニッコニコだった。ついでに言うならペソまでが尻尾をフリフリ。
父だけは少し仏頂面だったけど、お酒飲むうちに意気投合してしまった。


「4月に開店する店舗の店長をするんです」という羽田の言葉に、ますます信頼の度が高まった。
初めて出来た彼氏との付き合いに、私は翻弄されてばかりだったというのに。



「『玉の輿』だね!」

「いいの見つけたなぁ〜」


喜ぶ父と母に何も言えなくなってしまった。
何よりおばあちゃんが本当に嬉しそうにしてて、幼い頃からお世話になってる人のそんな顔が見れて良かった…と、心底思わせてもらった。




「……でも、いきなりお泊まりはキツいよ。どんな顔していいかも分からんもん……」


あの体調の悪さで迫られても困るし、大体私、お風呂から上がって何着ればいい?
パンツの替えは用意したけど、今着てる服のまま寝るのも難しいし……。


(羽田に服貸して頼む?どうやって……?)


少女マンガの中で、『彼シャツ』を着る女子に憧れた。
大きめの服の袖から指先だけを出す『萌え袖』に対し、お店の同僚達も「いいよねぇ〜」と騒いでた。


(今夜、それをビジュアル化するの⁉︎ 恋愛処女の私が……?)



ドキドキが増す中、お湯を止めて脱衣所へ行った。
ビニール袋の中に残ってるスキンケアセットとボディスプレーを洗面台の上に用意して服を脱ぐ。

まさか羽田が来たりしないよね……とハラハラして裸になると、慌てて浴室の中へ入ってロックを閉めた。