気だるさを残して目が覚めたら朝だった。

腰から下が痺れるように重い。

骨盤が軋むような気がしているのは、昨夜の名残りがあるせいだろうか。




「おはよう…」


頭の上で声がする。

もぞっと動いて見上げると、いつもに増してカッコいい羽田がいる。



「おはよう……」


これまでの自分と違うような気がして挨拶する。

それは錯覚だと十分理解してるけど……。




(好き……)


その気持ちは朝になっても変わらない。
これからもきっと、永遠にそう思える気がする。



「美結……歩けるか?」


抱きつかれたまま聞かれた。


「どうだろ……自信ないかも……」


こんなダル重で仕事できるかも不安。


「…羽田は?どうもない?」


胸に顔を押し付けたままで聞く。



「俺…?あー別に。慣れてっから…」


平気そうに起き上がった。
嬉しそうに近付いてくる顔が、私の頬を舐める。


「ペソみたい……」


擽ったい…と笑うとニヤつかれた。
本物のペソはゲージから起き出し、リビングと寝室を遮るドアの向こうから呼んでる。



「キャン!キャン!キャン!」


今日は実家の家族が葬儀から戻ってくる。
出勤前に寄って、預け返しておこう。