「ルリ、1人で来るなんて久しぶりじゃん」


あの後 何もかも忘れたくなって
私は1人でCLUBを訪れていた

いつもの席に座ると アズが楽しげに笑う


「私だって1人で呑みたい日があるの」


「知ってるよ...どうせアイツのせいだろ?」


「...っ、煩い」


こんなに余裕が無いのは
きっと 相手が他でもない貴方だから

⋯お酒でも呑んでないとやってられない


「余裕無いルリも、悪くない」


そんな私を見て またアズは笑った


──⋯彼は“夜の私”を知ってる。

前にお酒の勢いで
紫都との関係を漏らしてしまった

昼の“留梨奈”と夜の“ルリ”

彼が私を“ルリ”と呼ぶのは
⋯彼ともまた “不純な関係”だから。


「なぁ...シようよ、ルリ。」


アズの声色が 真剣さを帯びたのが解った
同時に 熱い視線を感じる


「...良いわ、相手してあげる」


手を付けていたグラスをカウンターに置くと
私は スッと立ち上がった


「...好きにして」


「ハハッ...お言葉に甘えて。」


もう何でも良い
どうにでもなれば良い

例えそれが一瞬でも

私から 紫都を消して欲しかった


「──っん、」