涙の雨と僕の傘


修学旅行から帰ってくると、なぜか名瀬に避けられるようになった。


理由はわからない。

怒らせるようなことはしていないし、聞こうにもとことん避けられるのだ。



もしかしたら、彼氏に何か言われたのかもしれない。

他の男と仲良くするな、とか。


何を今更、自分のことを棚に上げて。

そう思うけど、一番可能性の高い線だろう。


それか……。



俺の気持ちが、名瀬にバレたか。



俺が名瀬を好きでいることが彼女に伝われば、きっと避けられるだろうとは思っていた。


名瀬は律儀だから。

まったく気遣ってくれない彼氏を、ちゃんと気遣う奴だから。



だとしたら、仕方ないと思う。


そういう名瀬を好きになったは俺だ。


寂しくても、がまんしないと。



本当に、寂しいけれど。


俺のわがままで、彼女を困らせたくはないから。




よく昼休みを、名瀬と一緒に過ごしていたけれど、またひとりきりになった。


元に戻った。

それだけのこと。



時折聞こえてくる、女子と喋る名瀬の声。


名瀬が元気なら、それでいいんだ。



ただ、俺がいないところで、ひとりで泣いたりしないでほしい。


そんなことを思う。





そして、俺は11月の末、風邪を引いた。