フッと、目が覚める。ボヤけた視界に入って来たのは、白い天井。

自分のアパートでも、雪ちゃんのマンションでもない、知らない天井。

(ここ、どこ……?)

ボーッと、少しの間思考が停止する。

(病院……?)

鼻につく薬品の独特な匂いで、かろうじて病院と分かった。

なんで?と疑問に思ったけどそれも本当に一瞬で、ズバンッ!と、次の瞬間には記憶が戻って来た。

(そうだ!笹木が暴れて、それでっ……!)

ガバッ!と起き上がり、フラ付きながらベッドを下りる。思い通りに動かない足と気持ちばかりが焦り、モタ付く。

「どこに行くのよ?」

と誰かに問われたので、

「どこって、雪ちゃんの容態を聞きに行くんじゃない!一緒に運ばれてるはず!」

と答えた。……答えて、ハタと気が付いた。今の声……。

私はゆっくりと振り返る。