ボクらは食べ終わって店を後にした。
『ありがとね。夕食まで付き合ってもらっちゃってさ。』
『いいや、こちらそこそありがとう。
こんな美味しいオムライス屋さんに連れてってもらってさ。それに安いし。』
『うん!カオルまた遊ぼうよ!カオルのラッドまた聞きたいし!』
『うん!そうだね。また遊ぼうね!』
とは言ったものの、ボクはもう彼女には連絡しないのだろう。
彼氏がいると知っててアタックできるほど、ボクは器用な人間ではないし、そんな強靭なハートの持ち主でもない。
ボクは確実に君に恋をしていた。
心が焼けるほどの恋をしていたんだ。
きっと君の笑顔は、ボクのまぶたの裏に、タトゥーのように刻まれているんだろうか。
だとすれば、とてもやっかいだ。
だってあの笑顔に勝てる人なんて、きっといないから。
ボクはそんな事を思いながら彼女に『今日は、ほんっとーに楽しかったよ!ありがとう。
、、、さよなら。』と振り絞るような笑顔で言った。
『なによ、それー!さよならなんて大袈裟な。でも私も楽しかったよ!ありがとう。
じゃあ、またね!』
『うん。じゃあ、また、、、。』
そんな会話を最後にして、ボクらは別々の帰り道を歩き始めた。