『ねぇ、お腹空かない?』
『そう言われてみれば、お腹すいた。』
『ねぇ、美味しいオムライス食べたくない?』
『そう言われてみれば、オムライス食べたい。』
『うふっ。なにそれ!』
『いや、けど本当に。』
『そっか。じゃあ、行こうよ!』
彼女の綺麗な髪は靡き、ニコッと笑った。
着いた場所は、隠れ家のように小さくて洒落た外観のお店だった。
看板には、「オムライス専門店 yuricago」と書いてあった。
店の前からすでに、とても良い匂いがしていた。
店に入ると、40歳前後の気の優しそうな主人と同い年の女性が、柔らかく穏やかな声で『いらっしゃい』と迎えてくれた。
ボクらはカドの席に座った。
『オススメはあるの?』
『うーん、オススメはないよ。』
『え?オススメないの?』
『ないよ!だって全部美味しいんだもん。』
『なるほどね、そういうことね。』
『けど、全部食べたことないでしょ?』
『ふふっ、ないよ。でもきっと全部美味しいよ。私にはわかるの。』
それからちょっとして、彼女は「トマトチーズオムライス」を注文し、ボクは「デミグラスハンバーグオムライス」を注文した。
アットホームな雰囲気と安めに設定された価格とは裏腹に、出てきたオムライスの見た目は、本格的なもなだった。

