プルプルプル... プルプルプル...
と部屋に設置されている受話器が甲高く部屋に鳴り響いた。
ボクは、その受話器を取るとカラオケの退店時間を案内するものだった。
3時間の歌い放題は、あっという間に感じた。
店員は、そういったボクらの心理に漬け込み『もう少し、延長しますか?』と言ってきたが、この3時間という時間が丁度良かったんだとボクは思い、独断で断った。
『もう、時間だってさ。』
『うっそー!
めっちゃ早くない? 時間経つの。』
増田カナコはガッカリするように言った後、カルピスウォーターを飲み干した。
『楽しい時間はいつもあっという間だよね。』
『確かにそうだね。
楽しくない学校の授業の1時間と今日の1時間じゃ、全く体感時間が違う気がするね。』
ボクの言葉に、同調するように小倉良太は言った。
『ねぇ、最後は何歌う?』
『何歌おっか?』
『じゃあ、やっぱりシメのAKBいっちゃう??』
『なんでカナコは、カラオケの最後AKBになんの?』
増田カナコの提案に、彼女は呆れるように笑った。
『ヘビロテはやっぱりシメに歌うのが一番なのよ♪』
AKB48の「ヘビーローテーション」のイントロが流れはじめ、彼女と増田カナコはマイクを持った。
増田カナコと彼女が、慣れた様子で歌って踊るのを、ボクと小倉良太も二人に着いて行くように歌って踊った。
最初は恥ずかしかったが、最後になると「ヘビーローテーション」のサビをみんなで大合唱していた。

