彼女は、カラオケのリモコン画面を見ながら『何にしよっかなー』と呟くように言った。
『あれ歌ってよー!』
『あれってなに?』
『あれだよ!Darling!久々に聞きたい!』
『えー、、なんでよ?』
彼女はもやっとした表情を浮かべた。
『あの曲めっちゃ好きだし、上手じゃん!』
『本当に?わかったー!じゃあそれにする!』
彼女は、増田カナコの要望を受け入れ、カラオケのリモコンで西野カナの「Darling」を入れた。
西野カナの「Darling」という曲は、本当に可愛らしい曲だった。
彼女の柔らかい可愛らしい歌声によく似合っていた。
もし、彼女の彼氏がこの歌のように思われているのなら、さぞ嬉しくて誇らしいことだろう、とボクは思った。
ボクは彼女が歌う姿に見惚れていた。
本当に綺麗な人だなぁと改めて思った。
すると、となりに座っていた増田カナコがコソコソとボクに呟いてきた。
しかし、ボクの耳は完全に彼女の歌声に傾けていたので、全く聞き取れなかった。
『ごめん、もう一度言って』とボクは、増田カナコに小さな声で言った。
『この曲ね、あの娘と彼氏の思い出の歌なんだって。
だからあんなに心がこもっていて、上手に歌うのよ。』
『へぇ、そうなんだ。
どうりでとても上手なんだね。』
ボクは、増田カナコに作り笑いをして言った。

