ボクの名前は『柏木カオル』。
朝陽高校の2年生で、サッカー部に所属している。
小学1年生の時にサッカーを始め、3年生の時には、上級生を差し置いてレギュラーの座を手にした。
当時の監督は、ボクのことを小さなロナウドと評してくれたほどだ。
間違いなくボクには、自他共に認める天才的なサッカーの才能がある。
しかし、今の監督はボクを一向にレギュラーにしてくれない。
それどころかある日、監督はボクにこう言った。
「お前は、一生レギュラーにはなれない。
ただ逆に、マネジャーとしてチームを支えてくれないか?」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中で何かが崩れ落ちた音がした。
その日からボクは、ずっとサッカー部の練習をサボってる。
放課後、今日も練習をサボって駅前にあるタワーレコードで時間を潰していた。
新譜コーナーに、RADWIMPSのアルバムが置かれていた。
そういえば今日が発売日だったか、とボクは思った。
手に取ろうとした瞬間、透き通るほどの白い肌の腕がボクの前を横切り、アルバムを手にした。
その腕の持ち主の顔に目をやると、あまりの美しさに息を呑んだ。